TSUSHIMA

2023 日本(日本語) 字幕:英語 /99分 /G

10/26 sat 15:00 - ホステルひまわり 体育館

作品紹介

猛烈な勢いで発展を続けるAI。どんな難題にも人知では計り知れない優れた回答を示してくれる一方で、そのあり方について今、世界各国で盛んに議論が行われている。本作品は、いち早くこの問題に着目し、近未来に人類が直面するであろう事態について、多くの地域でいまだ社会的弱者である女性の諸問題を中心に据え、ストーリーを展開している。
AIの示す回答に対し自ら考えることなく盲従するだけの人類が現れたとすれば、それは「脳」を失った化け物と同じである。絶大な力を持つようになったAIは、この「脳」を失った新しい人類を従え、人間社会の弱みにつけ込み、社会を巧妙にコントロールしようとする、そんな異様な世界を普段の生活の中にある事象を通じて描いていく。科学技術の発展に伴い、女性の美への欲望を満たす若さと美しさが提供され、さらに人類共通の欲望でもある不老不死が眼前にもたらされたとき、我々は何を選択するだろうかと投げかける。
本作品は、AIの暴走を描いたSF映画ではない。AIが人智を超えて発展し、世界を大きく変えようとしている。そんな時代だからこそ、「自ら考えることの意味」とは何かを問いかける内容の映画である。

あらすじ

衆議院が解散し選挙戦が始まる中、神宿る島、長崎の離島・対馬で静かに活動を始めた美人候補、27歳の佐藤由里子。女性の地位向上を声高く訴える。全国各地では数多くの美人候補が立ち、マスコミの話題をさらう。地元新聞社の記者・田島圭介は、由里子の足跡を追って迷いこんだ対馬で、恐ろしい光景を目にする。そこにあった謎の緑色の物質…。一方、美人候補たちの勢いを警戒した与党は内偵のために人を送り込む。長崎3区では、送り込まれた男が遺体となって見つかり、佐藤由里子は猛烈な逆風にさらされ落選する。
時代は遡り、日本の高度経済成長期。まだまだ女性の地位が低い社会で、孤児の由里子は一人で生きていた。ある日、一人の男性・小林修二と出会う。小林は多くの苦しむ女性たちのために力を尽くしていた。やがて由里子は、小林との間に娘・佳織をもうける。巷では、若い女性たちの無残な遺体が次々に見つかるが、みな若返りの薬として「緑色の物質」を服用していた。事件の真相を追っていた小林は、異様な現場に足を踏み入れ、姿を消してしまう。
選挙戦の翌年、田島とともに対馬の地を訪れた一人の大学教授によって、一連の事件の全容が解明される。緑色の物質を作った張本人、それはヒトの意識が集積した“目に見えない欲望”だった。そして、AIの導きに盲従するだけの「自ら考えない」人類が、社会を密かに操ろうとしていた。それに気づいた田島。再び対馬の地を踏み、そこで50歳を超えた本当の姿の由里子と再会する。
時が過ぎ、80歳を超えた由里子は、ある日転倒して頭を打ち認知症が一気に進んでしまう。医師は、夫の田島と息子にAIを利用した新しい治療法を勧めるが、「緑色」の治療薬を目にしたとき、田島の頭に昔の記憶がよみがえる。家族となった田島、そして佳織の出した結論は…。

監督

山根高文 Yamane Takahumi

スタッフ&キャスト

監督・音楽・原作・脚本山根高文
出演山田純大、中西悠綺、二宮芽生、浜浦彩乃、ケニー大倉、勝野洋(特別出演)、星田英利、売野雅勇(作詞家、友情出演)、古藤芳治(友情出演)、大嶋真由子(長崎文化放送アナウンサー)、他
スタッフプロデューサー:山根高文、宮下昇、米田利己、夏原健
主題歌:「Wings Of My Heart」 作詞作曲/河合奈保子
音楽:陶旭茹(とう・しゅーる)
製作:株式会社MESTY、株式会社ふればり、株式会社コミュニティメディア